夏の終わりは、どうも苦手です。
昼間はまだ暑いのに、夕方になると風が少し変わる。
近所の祭りは終わり、花火大会のポスターも剥がされ、スーパーには早くも秋の商品が並び始める。
「ああ、今年の夏も終わるんだな」
そう思った途端、理由もなく少し寂しくなることがあります。
しかも50代ともなると、そこへ仕事、親のこと、老後、自分の体力、これから何年働くのか……と、頼んでもいない「人生反省会」まで始まる。
今回は、そんな夜に辺境のおじ様が試している、「心の余白を取り戻すひとり時間」の話です。
人生を劇的に変える方法ではありません。
むしろ、何も変えないための時間なのかもしれません。
私が困っていたこと|休日なのに頭の中だけ仕事中
以前の私は、気分が沈むと「何かしなければ」と考えていました。
休日なのだから有意義に過ごさなければ。
資格の勉強でもしよう。
家の片づけをしよう。
明日の仕事を少し進めておこう。
ところが、体はソファに座っているのに、頭の中だけ月曜日。
休んでいるつもりなのに、まったく休んだ気がしません。
特に夏の終わりは、「今年も残り数か月」という妙な焦りまで加わります。
まだ9月なのに、頭の中ではなぜか大晦日。
50代のおじ様達は、先走りすぎです。
最初に失敗した方法|落ち込んだ自分を無理やり元気にした
最初にやっていたのは、気分を無理に上げることでした。
「せっかくの休日だから出掛けよう」
「元気を出さないと」
「こんなことで落ち込んでいてはいけない」
ところが、気持ちが疲れているときに予定を詰め込むと、帰宅したころにはさらにぐったり。
もうひとつ良くなかったのが、スマートフォンを眺め続けることでした。
延々と時間を忘れるショート動画。
SNSを開けば、旅行、豪華な食事、趣味を楽しむ同年代。
他人の人生のハイライトを眺めながら、自分はソファで麦茶を飲んでいる。
これでは心の休憩というより、勝手に開催する「人生比較選手権」です。
そこで私は、元気になることではなく、いったん頭を空っぽにする時間をつくる方向へ考え方を変えました。
実際に試した方法|私の「ひとり時間」5つ
大げさなことはしていません。
1.夕方に20分だけ歩く

目的地を決めず、住宅街や川沿いを歩きます。
ポイントは「運動しなければ」と考えないこと。
夕焼けを見たり、虫の声を聞いたり、「少し風が変わったな」と感じる程度で十分です。
2.喫茶店でコーヒーを一杯だけ飲む

スマートフォンを置き、コーヒーを飲む。
それだけです。
地方の古い喫茶店には、不思議と急かされない時間があります。
隣のおじ様が新聞を読んでいるのを見るだけで、「そんなに急がなくてもいいか」と思えてくることがあります。
3.昔好きだった音楽を一枚分聴く
新しい音楽を探す必要もありません。
20代、30代のころによく聴いていた曲を流す。
音楽を聴くと、その時代の車、仕事、友人、街の匂いまで思い出すことがあります。
昔に戻りたいのではなく、「ここまで結構やってきたな」と確認する時間です。
4.本を10ページだけ読む

「一冊読む」ではなく10ページ。
眠くなったら終了。
読書までノルマにすると、おじ様の休日にまた上司が一人増えてしまいます。
5.少し遠回りしてドライブする
私は地方暮らしなので、ひとり時間と車は相性がいいと感じています。
買い物の帰りに一本違う道を走る。
田んぼの向こうへ沈む夕日を見る。
目的のない遠回りには、妙なぜいたくがあります。
※運転するときは、疲労や眠気がある場合は無理をせず、安全を最優先にしてください。

変化または気づいたこと|「何もしない」は空白ではなかった
こうした時間を持つようになって気づいたのは、休みの日まで成果を求めなくてもいい、ということでした。
厚生労働省の「こころの耳」では、ストレス対処として、休息・休養・睡眠の「Rest」、趣味や気晴らしの「Recreation」、音楽やストレッチなどの「Relax」という「3つのR」が紹介されています。
私がやっていた散歩や音楽、喫茶店での休憩も、特別な健康法というより、こうした日常的なストレス対処に近いものだと考えています。
ひとり時間の目的は、「明日からバリバリ働くぞ!」と自分を奮い立たせることではありません。
少し静かになること。
私には、それくらいがちょうどよかったのです。
同年代にすすめる理由|50代には「余白」も必要だと思う
50代は、若いころより背負っているものが増えます。
仕事では責任が増え、家庭のこともあり、自分や親の年齢について考える機会も増えてきます。
だからこそ、ときどき誰の期待にも応えなくていい時間が必要なのではないでしょうか。
一人でコーヒーを飲む。
夕方を歩く。
好きな曲を聴く。
それで人生の問題が全部片づくわけではありません。
でも、問題から少し距離を取る時間には意味がある。
私はそう考えています。
夏が終わるのは、少し寂しい。
けれど、寂しいからこそ季節を感じられるのかもしれません。
花火が終わった夜に、無理やり次のイベントを探さなくてもいい。
ちょっと静かな時間を楽しめるのも、大人になった特権です。
向いていない人・注意点
この記事で紹介した方法は、日常の疲れやストレスを感じたときの、私なりの気分転換の考え方です。医療行為や治療を目的としたものではありません。
また、「ひとり時間」は一人で悩みを抱え込むこととは違います。
眠れない状態が続く、何をしても楽しめない、強い不安や気分の落ち込みが長く続く、仕事や日常生活に支障が出ているといった場合は、セルフケアだけで何とかしようとせず、医療機関や専門家、公的な相談窓口などへ相談することも選択肢です。
厚生労働省も、不調が長引く場合などには一人で頑張らず相談することを案内しています。
まとめ|夏の終わりくらい、少し遠回りして帰ろう
50代になると、「何かをする時間」の価値はよく分かります。
仕事をする。
家族のために動く。
将来を考える。
でもこれからは、「何もしない時間」も予定表に入れていいのではないでしょうか。
夕方に20分歩く。
喫茶店へ寄る。
昔の音楽を聴く。
本を少し読む。
遠回りして帰る。
それだけでもいい。
夏の終わり、少し気分が沈んだ日は、無理に元気なイケおじを演じなくてもいいでしょう。
コーヒーでも飲みながら、
「まあ、今日はこれでいいか」
と言えるおじ様も、なかなか格好いいものです。
参考資料
・厚生労働省委託事業「こころの耳」
「第4回 『ストレスの対処』ってどんなこと?」
・厚生労働省委託事業「こころの耳」
「ストレス対処法としての生活習慣 ― 食う・寝る・遊ぶの充電法」
・厚生労働省
「ストレスは早めの対処が大切」
・厚生労働省委託事業「こころの耳」
「働く方へ」
※本記事は筆者個人の生活経験・考え方を紹介したものであり、医学的な診断や治療を目的としたものではありません。
著者ボックス
[著者名・辺境のおじ様]
地方都市で仕事と日々の暮らしを続けながら、「50代から先を、無理に若作りせず面白く生きる」をテーマに発信しています。ファッション、仕事、休日、体調管理など、自分で試したことや失敗したことを中心に紹介しています。
専門家ではありません。健康・お金・法律など専門性が必要なテーマについては、公的機関などの情報を確認しながら、あくまで一個人の経験・感想として記事を書いています。
